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決断の変更

作成者: 村山 俊介|Sep 7, 2021 11:30:00 PM

 

 

一度決めたことって、変えたくないですよね

一度決めたことをコロコロ変えるのは一般的にいいイメージがありませんね。

優柔不断であると思われたり・・・。

 

でも、変えるべき時は変えることも必要です。

要は、何か初期の決断を行ったときにはまだ発生していなかった

新しい条件が発生したときであれば

 

その条件を踏まえて初期の決断が本当に正しいのかを再検討することは

何ら恥じることではありません。

 

決断は条件によって決まるのですから。

 

◆たとえばこんな例

 

3 枚のカードの中に 1 枚だけ当りがあるとします。

その中のあたりがどれかをあなたに選んでいただきます。

 

あなたがカードを 1 枚選んだら、まだ空けてはいけません。

 

私は、あなたが選ばなかった 2 枚のカードのうち当りでないカードをあけて見せます。

 

そうすると、残ったカードは、あなたが選んだカード 1 枚と

あなたが選ばなかったカード 1 枚の合計 2 枚です。

 

ここで、私はあなたに、これら 2 枚のカードのうち

どちらが当りかを、もう一度選び直してもいいと告げます。

 

さて、あなたは初めに選んだカードのままで良しとしますか?

それとも、決断を変更して、選ばなかったカードに乗り換えますか?

 

だいたい、話の流れから想像できているかもしれませんが

この場合、決断を変更したほうが、

確率的に当りである可能性が高いことが知られています。

 

ですが、気持ちの上では、実際に決断を変えるでしょうか?

私が外れのカードを 1 枚見せた時点で

目の前にはあなたが選んだカード 1 枚と 選ばなかったカード 1 枚のたった 2 枚だけです。

 

2つのうちどちらか一方が当りなら、どちらを選んでも

当たる確率は 2 分の 1 です。

ならば、わざわざ初めの決断を変える必要はあるでしょうか?

どちらにしろ同じ確率なら変える必要はありません。

 

◆数学的証明

 

ここで、ちょっと話が脱線しますが、なぜ決断を変更したほうが

確率が高くなるのかを説明します。

 

数式を用いた証明は、直観的にわかりにくいかもしれないので

準数学的な説明をしてみます。

 

話をわかりやすくするために1万枚のカードの中に

当りがたったの 1 枚しかないという条件で説明します。

 

さて、こんな状況を思い浮かべてみて下さい。

 

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇●〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇・・・・〇〇〇〇〇(1 万枚)

〇は外れのカード、●は当りのカードです。

 

まず、この段階で、1枚のカードを無作為に選んだときに

それが当りである確率は1万分の1ですね。

 

その状況は

選んだカード 〇(1 枚)
選ばなかったカード 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇●〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇・・・・〇

〇〇〇〇(9999 枚)

です。
さて、選んだカードが当りである確率が
1 万分の1であれば、

選ばなかったカード 9999 枚の中(のどれか 1 枚)に当りが存在する確率は?

 

・・・・はい。1 万分の1を除くすべての可能性が該当するので

1-(1/10000)=9999/100000(1 万分の 9999)

 

となります。

 

ですから、この時点でもし、「選ばなかったカードを全部開けていい」

という権利があれば、選ばなかったカードを全部開けたほうが絶対に得です。

だって、当たる確率が「1 万分の 9999」なのですから!

 

そこで、私の出番です。

あなたが選ばなかったカードのうち、外れのカードをすべて空けてしまいます。

いいかえれば、外れのカードを選ばなくていいように、取り去ってしまいます。

そのときの状況は・・・

 

選んだカード 〇(1 枚)
選ばなかったカード ●(
1枚=つまり9998枚減った)

 

もし、このとき決断を変えて選ばなかったカードを

開けることにしたら何が起こるでしょうか?

 

それは、選ばなかった 9999 枚のカードを全部開けるのと

同じことが起こるのです。

 

なぜなら、選ばなかった 9999 枚のカードのうち
私が
9998 枚を開けました。

そしてあなたがさらにもう1枚を開ければ

結局、選ばなかった 9999 枚のカードをすべて開けて中身を確かめたことと

同じことになるからです。

 

ここまで付いてこられましたか?

 

もし、ここまでの内容が理解できていれば、カードが全部で 3 枚の場合の確率も理解できます。

 

〇〇●


カード
3 枚から 1 枚目を選んだときに当たる確率は 3 分の 1 です。

 

また、残り 2 枚の中に当りが存在する確率は 3 分の 2 です。

したがって、あなたが 1 枚選んだあとで

私が残り 2 枚のうち、1 枚だけ外れのカードを開けて見せて、

 

そのうえで、あなたが決断を変更して選ばなかったカードを開ければ

結局は、はじめに選ばなかったカード 2 枚をすべて開けて確かめたのと

同じことになり、当りの確率は 3 分の 2 となり、有利です。

 

◆新しく生じた条件を考慮することのむつかしさ

 

以上のような、議論は数学的に証明可能なことではありますが

どうしても、直観的には反論したくなる気持ちを抑えることができない

という人もいるでしょう。

 

いかに、条件を考慮した確率論というのが

難しいかがよくわかります。

 

あなたの決断も常に、時流の変化に伴い

時々刻々と確率を変えながら推移しています。

 

コロコロと決断を変えるのも問題ですが

変えるべき時はすっぱり変えるということも必要で

 

その見極めには様々な基礎研究が欠かせないかと思います。

(たとえば、上の例が数学的な研究によって解決されたように)

 

様々な変化を常にシミュレーションし、

その結果を小規模な実験によって実証・確認する努力は

何事につけても必要なのかもしれませんね。

 

 

本日は、東京都世田谷ちゅうしん整体院 村山先生のコラムを紹介いたしました。