更年期は閉経前後5年間の期間を指します。
平均閉経年齢が50歳であることを考えると、多くの女性が40代後半には更年期に入ることになります。
更年期には更年期症状と呼ばれるさまざまな症状が出現しますが、ある日突然、症状が出てくるわけではありません。
少しずついつもと違う症状が出始め、その頻度や症状が増していきます。
では、更年期前にはどんな症状がみられるようになるのでしょうか?
女性は胎児の時から卵巣の中に卵子の元になる細胞(卵胞)を持っています。胎児の頃には数百万個ある卵胞ですが、思春期頃までに数十万個に減少します。
さらに思春期になると、卵胞が卵巣の中で育ち、卵管に向けて飛び出す排卵という現象が起きるようになり、それに伴って生理が始まります。この排卵が始まることで、さらに卵胞の数は減少していきます。
特に37、38歳を越えたあたりから急速に減少することがわかっています。
このように卵子の元になる細胞は、胎児の頃に作られた数以上には増えることなく、加齢や、排卵が起きるたびにどんどん減っていくばかりです。そして、排卵できる卵子がなくなると、閉経に至ります。この変化に伴い、女性の体はどんどん変化していきます。
更年期に向けて起きる変化として、一般的に、生理周期が短くなるという変化が最初に起こります。これに関係してくるのが、女性ホルモンの分泌量の減少です。その流れをご紹介します。
①年齢とともに卵胞の数が減ると、卵胞から分泌される女性ホルモンの量が少なくなります。
②この状態を脳が察知し、もっと女性ホルモンを出すように卵巣に指令を出します。
③結果的に排卵が早く起き、生理周期が短くなります。
④最初は脳からの指令に卵巣が反応し、排卵を早く起こすことで女性ホルモンの量を保てますが、そのうち反応できる卵胞が少なくなり、排卵の回数自体が少なくなっていきます。
⑤ホルモンバランスが保つことが難しくなり、不正出血や生理周期の乱れ、生理の量の減少や増加などの生理不順の状態が頻繁に起こるようになっていきます。
この頃に少しずつ、ほてりやのぼせ、発汗、気分の落ち込みやイライラなどの更年期症状が出現し始めます。
このように生理周期に変化が見られ始めると、更年期突入のサインになります。
PMSは、月経前症候群のことで、生理前3〜10日間続くさまざまな症状が、生理開始によって軽くなったり症状がなくなるものをいいます。
症状の内容としては、下記のとおりになります。
◼︎情緒不安定、イライラ、気分の落ち込み、不安
◼︎常に眠い、睡眠障害
◼︎集中力の低下
◼︎頭痛、腹痛、腰痛
◼︎むくみ、お腹の張り、乳房の張り
◼︎食欲不振、過食
◼︎めまい、だるさ
このような症状を引き起こすPMSは、更年期と同じく、ホルモンの変動が関わっていると考えられています。そのため、PMSの精神的・身体的症状が、更年期でも起きる可能性が高いという考え方もあります。PMSは生理前に限定されますが、更年期は年単位で持続しますので、症状も長く続くことが懸念されます。
辛い更年期障害を乗り越えるには、病院での治療とともに生活の見直しが大切になります。
女性の40〜50代は、子育てはある程度落ち着きますが、受験や就職などの子どもの人生を左右するイベントが多く、そのサポートが必要な時期でもあります。また、仕事をされている方は、責任あるポジションにいることも多い年代です。
そのため、頑張りすぎや過労の傾向にあり、疲労やストレスが溜まりやすいでしょう。自身の健康を気遣う余裕がない場合も多くなります。
このような状態では、更年期症状が辛くても、なかなか周りに言うことができていない場合もあるでしょう。
でも、言わなければ誰も気づいてくれません。更年期で辛いから、家事を分担したり、自分でできることは自分でしてほしいことなどを家族にきちんと伝えましょう。
また職場では、同年代や年上の女性がいるなら、きっと更年期の悩みを共有できるはずです。人と会話し、共感しあえることは大きなストレス解消法にもなります。
閉経を穏やかに迎えるには、疲労やストレスを最小限に抑えることが重要です。そのためにも、家族や職場での理解が得られるように動いてみましょう。そのほかに、ウォーキングやジムでの運動を始めたり、趣味を楽しむこともストレス解消に効果的ですので、ぜひ生活に取り入れてみましょう。
ただし、更年期症状がひどく、日常生活に悪影響を及ぼす更年期障害の場合には、早めに婦人科を受診することも大切です。病院でホルモン補充療法や漢方の処方を受けることで、更年期症状が軽くなることが期待できます。
更年期が始まる前には、生理周期が短縮したり、不正出血があったりなどの生理不順がみられる場合が多くなります。
アラフォー世代で生理不順が続く場合、更年期が近づいているサインと言えます。
しかし、中には婦人科疾患やその他の病気の可能性もあります。
生理不順が続く場合には、婦人科を一度受診してみることが大切になります。ぜひこの機会に婦人科を訪れてみましょう。
◇ 鍼灸師・有山知恵子からのアドバイス ◇
生理不順やPMSなど、生活に支障がなく、我慢できると何もしない方が多いですが、
鍼灸や整体、食事の改善などで、軽くなったり、状態が良くなることが多いので、
生活の質を上げるためにも、放置せずにカラダ作りに取り組んでみてください。
有山知恵子
鍼師、灸師(国家資格)
日本体育協会認定AT(合格率1%以下の時代に取得)
栄養士(都道府県知事資格)
病院のリハビリ室や、シンクロやアメフトなどのスポーツ現場で、栄養士やアスレティックトレーナーの資格を活かし活動。
東洋医学と女性の健康の第一人者として、
主に横浜市、東京都新宿区でのセミナーを定期的に開催。
セラピストとして抜群の人気を誇り、その知識を講師として後輩セラピストに伝える。
「更年期に悩む女性のサポート」
「妊活に悩む女性のサポート」
「子育て中のママの健康」
の専門家として、
同業者向けセミナーや、
患者様向けに教室を開催。
現在、一般社団法人婦人科セラピー協会で、技術を指導するテクニカルディレクターとして活躍中。