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「更年期に起こる自律神経症状の不思議」

作成者: 有山 知恵子|Aug 22, 2019 3:00:10 PM

更年期は、卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌が低下するためにさまざまな症状が起こります。症状は、自律神経失調症状、精神的症状、その他の大きく3種類に分けることができます。では、なぜ女性ホルモンの分泌が低下すると、自律神経に影響を及ぼすのでしょうか?その仕組みについて勉強していきましょう。

自律神経を落ちつかせるためには

更年期(閉経の前後5年間)には、更年期症状と呼ばれるさまざまな症状が出ますが、その中でも日常生活に支障をきたすものを更年期障害と呼びます。

40〜65歳の女性対象の更年期障害のアンケートでは、肩こり、疲れやすい、頭痛、のぼせの順で症状の頻度が高いことがわかっています。

これらの症状は、更年期の自律神経失調症状に分類され、上記以外にも発汗や寒気、冷え、動悸のほか、息苦しさや胸痛、めまいなどが含まれます。

更年期の自律神経失調症状はなぜ起こるのでしょうか?その原因を知って対策ができれば、この辛い症状を軽減することができるかもしれません。

2つの女性ホルモンと自律神経のバランス

女性ホルモンはエストロゲンとプロゲステロンがあり、この2つのホルモンのバランスによって、毎月生理が来ます。そして、この2つのホルモンの量を調整しているのが脳です。脳の間脳と視床下部では、エストロゲンやプロゲステロンの分泌状況を管理しており、生理周期ごとに適切な指令(性腺刺激ホルモンなどの分泌)を卵巣に送っています。

ところが、女性は加齢によって卵巣の機能が低下するため、40歳頃から女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌が低下し、ホルモンの調整がうまくいかなくなります。

そのため、低下したエストロゲンを補充するように、脳から卵巣にもっとエストロゲンを出すように指令を出します。最初のうちはこの指令に応えるだけの力が卵巣にありますが、だんだん指令が来ても卵巣が動けなくなってきます。そうなると、脳はパニックとなり、他のホルモンの分泌にまで影響を及ぼすようになります。その結果、自律神経も影響を受け、自律神経失調症状が表れるようになります。

自律神経を和らげるために、家族や友人との時間を大切に

自律神経失調症状は、女性ホルモンの低下によって自律神経のバランスが崩れることで起こるため、ホルモン補充療法を受けたり、症状に対する薬物療法を行うことで症状が軽減することが期待できます。

また、更年期障害以外の病気が原因で起こる場合もありますので、症状がひどい場合には早めに病院を受診しましょう。

病院での治療とともに大切なのが、自律神経失調症状を悪化させる原因になるストレスや疲労を溜めないことです。ストレスは溜める前に発散しましょう。その1つの方法として、家族や友人と会話する時間を持つことをおすすめします。

特に実のある会話である必要はありません。あなたを大切に思ってくれる人との関わりや、一緒に過ごす時間や空間が、ストレスを和らげてくれます。また、その会話の中から問題解決の糸口が見えてくるかもしれません。

1日の過ごし方を見直してみよう

自律神経失調症状は、1日の過ごし方を変えることで症状の軽減が期待できます。栄養の整った食事を摂り、適度な運動と十分な休息や睡眠を取ることが重要になります。

◼︎栄養バランスのとれた食事

食事は、良質なタンパク質が摂れ、女性ホルモンに似た作用を持つ大豆イソフラボンが含まれている大豆製品(豆腐や豆乳、納豆など)を積極的に食べるのがおすすめです。

ただ、大豆製品ばかりを摂るのではなく、他の栄養素も満遍なく取り入れることが大切です。女性ホルモンの元になる肉や魚などのタンパク質、エストロゲンの減少によって少なくなる骨量を補うカルシウム、からだの恒常性を保つビタミンやミネラルなど、どれも健康なからだを保つのに必要な栄養素です。1日3食、いろいろな食材を使った料理を食べるようにしましょう。

◼︎適度な運動

運動は更年期障害を改善するのに効果的です。からだを動かすことで血行が良くなり、自律神経の働きを改善することが期待できます。ハードな運動ではなく、ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの有酸素運動がおすすめです。ジムに定期的に通うのもいいですね。

◼︎休息や睡眠

休みなく動いたり、睡眠時間を削っていては自律神経は乱れるばかりです。動いたら休む、夜は十分な睡眠を取ることが自律神経を休ませるのにとても重要になります。

しかし、仕事や家事、介護など、更年期女性を取り巻く環境は休みづらいことが多いですね。頼める仕事は家族や同僚に任せ、介護は公的支援をフル活用して、自身の負担をできるだけ減らせるようアプローチしてみましょう。

まとめ

更年期の自律神経失調症状は、個人差があるものの、生活の質の低下に繋がります。痛みやしんどさを抱えながら、仕事や家事をこなすのは辛いものです。そして、その状況がさらにストレスとなり、症状を悪化させることになりかねません。

症状が辛い場合には、迷わず婦人科を受診し、適切な治療を受けましょう。そして、生活習慣の見直しや、負担が大きいところは軽減できるように周りと話し合うことをおすすめします。

 

◇ 鍼灸師・有山知恵子からのアドバイス ◇

更年期は視床下部と卵巣のホルモンバランスが乱れてくることで起こってきますよね。
東洋医学では『気・血・水』のバランスが崩れると、身体の不調が表れてきますし、そのバランスをコントロールしているのは、視床下部になります。
自律神経の中枢も視床下部になるため、『気・血・水』のバランスを整えるアプローチをしてあげることが不調の改善につながってきます。

有山知恵子
鍼師、灸師(国家資格)
日本体育協会認定AT(合格率1%以下の時代に取得)
栄養士(都道府県知事資格)

病院のリハビリ室や、シンクロやアメフトなどのスポーツ現場で、栄養士やアスレティックトレーナーの資格を活かし活動。

東洋医学と女性の健康の第一人者として、
主に横浜市、東京都新宿区でのセミナーを定期的に開催。

セラピストとして抜群の人気を誇り、その知識を講師として後輩セラピストに伝える。
「更年期に悩む女性のサポート」
「妊活に悩む女性のサポート」
「子育て中のママの健康」
の専門家として、
同業者向けセミナーや、
患者様向けに教室を開催。

現在、一般社団法人婦人科セラピー協会で、技術を指導するテクニカルディレクターとして活躍中。