今回は、何の脈絡もなくコウモリのお話です。
単なる私の興味にひっかかるというだけの理由ですがお付き合いいただければ幸いです。
さて、コウモリといいますと 日本でも決して珍しい動物ではございません。
家屋の屋根裏に住んでいる例も珍しくないですし、 以前ニュースで不幸ながら一酸化炭素中毒による死者を出してしまったような戦時中の遺物である地下壕のような洞窟的な場所にも多く生息しています。
洞窟の中のコウモリというと天井にぶら下がっているイメージですが
まさにその通りで、ほとんどのコウモリは地面での歩行を得意としていません。
しかし、すべてのコウモリがそうだというわけではありません。
ナミチスイコウモリは地面にしっかりと自分の足で着地し、
ジャンプ力もあり、
離陸する際にも、巧みに脚力を用いてジャンプしたのちに
羽ばたくというような動きを見せるコウモリもいるのです。
獲物に近づくときも、地面に着地してから、音もなく跳ねるように近づいていきます。
(そして家畜などの獲物の皮膚にかじりついて、血をなめとります)
ほかにも例えば、コウモリは超音波の反響を利用して行動しているので
視覚はほとんど使っていないと思っている方が多いのではないでしょうか?
ところが実際には、コウモリのすべての種類において、眼は充分に機能しています。
夜行性に適した、集光率の高い構造の眼球をもっています。
また、網膜には光の明暗を感じるための杆体が大部分を占めており、明暗の感度は 抜群ですが、
色を識別するための錐体はほとんどありません。
さらに、大コウモリと分類されるコウモリは、そもそも超音波を使いません。 もっぱら視覚を頼りに比較しているので、ほかの種類のコウモリに比べて、 より鋭敏な視力と、広い視野をもっています。
温帯のコウモリは、えさとなる昆虫が最も多い6月から8月の時期に保育期間を合わせています。
ところが、交尾の時期(つまり発情期)は秋です。
すると、交尾の後、出産する時期は本来であればえさの少ない冬になってしまうわけです。
そこで、秋に交尾してから、出産するまでの期間をいかに引き延ばして、出産を6から
8月に合わせるか、
その方法が必要になります。
ひとつの方法が精子貯蔵による、排卵・受精遅延型です。
この方法では、精子は子宮壁にとどまっていて、子宮卵管移行部の上皮細胞から栄養を吸収しているか
周辺の亜鉛イオンによって活性が抑制され、同時にマクロファージの貪食から免れていると考えられています。
一方、卵子は成熟卵胞内の卵丘細胞にある多糖類などの栄養を吸収していると考えられます。
こうして、一定期間の間、排卵せずに、精子を子宮で保存しておき、しかるべき時期に排卵、受精、着床とつなげ、うまく狙った時期に出産するわけです。
人が苦労して、人工授精のために保管している卵子や精子を、コウモリはこともなげに、体内のメカニズムで貯蔵しているわけですね。
また別の方法として、着床遅延型があります。
この場合は、交尾後そもまま、排卵、受精まで進めていきますが
胚盤胞の段階で発生を停止し、冬眠の間は未着床のまま子宮内部で休眠させるのです。
そのメカニズムは、冬期の気温低下に対して起こるエストロゲンやプロゲステロンの分泌抑制によるものと考えられています。
出産時期に悩むのは、現代社会の人間女性だけではない!
広く動物界全体においても、生存を賭けた重要な悩みなのです。
本日は、東京都世田谷ちゅうしん整体院 村山先生のコラムを紹介いたしました。