人の痛みに共感するってとっても大事。
簡単にいえば、相手を思いやる心ということですが、それが、自分の葛藤を処理する
能力をも向上させるって知ってましたか?
吻側前部帯状回は、霊長類でも人間に固有に発達した脳であるといわれています。
痛みを抽象的に捉えるために働く部分です。
他人が痛がるのをみて、その痛みに共感したり
母親が子供に対して感じる、わが身を犠牲にしても喜びを感じるような愛は、この部分が働くことによって沸き上がります。
人間が動物と違って、今この場で感じる痛みや葛藤に対して、一歩距離を置いて、客観的に(他人事として)捉え直し、それに対しての対策を、感情的にならずに冷静に判断して導き出すのも、この吻側前部帯状回の発達具合によります。
ちなみに、余談ですが、脳の中にある「帯状回」という部分は前部と後部に分類され
前部帯状回はさらに前側の「吻側前部帯状回」と
後ろ側の「背側前部帯状回」に分類して理解されています。
この記事では吻側前部帯状回を取り上げていますが、背側前部帯状回と比較すると
とても面白い違いがあります。
吻側前部帯状回・・・母親が子に対して感じる愛情、他者の痛みに対する共感
背側前部帯状回・・・恋人に対して感じる愛情、自分自身の体や心に感じる痛み
一言でまとめれば、利他的か利己的かという違いでしょうか。
でも、それらがまったく別々の領域にあるのではなく
隣接した非常に近い領域にあるというところに
脳の構造の面白さがありますね。
いいかえれば、自分と他人は表裏一体
他人は自分を写す鏡である
という考え方もできます。
しかし、同時に自分と他人にはある一定の区別がある。
だから、隣接しているけれども異なる領域で、自分の感覚と他者を思いやる感覚が分
かれているのですね。
話を吻側前部帯状回に戻します。
もし、吻側前部帯状回が損傷してしまうとこれらすべてのことに支障をきたします。
たとえば、他人の痛みに対して無関心だったり
心理的な葛藤に対して感情的になるばかりでうまく処理できなかったり
感情的に鈍麻してしまってうつ状態になってしまったり
という具合です。
うつ病のすべてではないですが、少なくとも一部にはこの吻側前部帯状回が関連して
いると考えられています。
自分の痛みにばかりフォーカスするのではなく、他人の痛みを思いやり、真摯に向かい合ってあげる人間性を磨くことで
吻側前部帯状回を発達させ
自分の葛藤に対しても慌てず、冷静に、的確な対処ができるような人間になりたいものですね!
本日は、東京都世田谷ちゅうしん整体院 村山先生のコラムを紹介いたしました。